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2008/05/13 火曜日 18:48:04 JST
6月の法話 伝えたい/詠裡庵

 団塊の世代から少し遅れて生まれた私も、いつの間にか半世紀を過ぎていた。おばあちゃんの知恵袋ではないが、私なりに、今伝えていきたいことがある。

 例えば、身近なところでは、洗濯物の干しかただ。洗濯物を干すのに、今はたこ足になった道具を使ったり、洗濯干し用のハンガーを使って、少ないスペースを上手に利用して干していく。一方、私は洗濯竿を数本使い、風が当たるよう、そして陽が当たるよう、陽に向けて広げ干している。つまり着物や洋服の前を陽に向けて干すのである。

 ところが、ある時テレビを見ていたら背の方を前に干しているのを見かけた。陽に背中を向けて干すのは亡くなった人の着物を洗濯して干すときだと母たちに聞いていた。人の死はあって欲しくない特別なことであり、非日常的な普段とは違う事をして心の整理をしようとしたのだと思う。

 一日は朝始まって夜に終わる。太陽は朝昇って、夕方沈む。太陽は大切な一日の始めと終わりを教えてくれる。そんなお日様に背を向けて過ごすのではなく、堂々と太陽に向かって生きていくという在り方を、洗濯物の干しかたの中にももって欲しいと思う。太陽の日差しを受けて、洗濯物よ乾いておくれ。そんな願いを込めて干す。ハンガーを使って干しても、陽に向けてそろえて干して欲しいと思うのである。

 「伝える」ということはとても難しい。子育ての時期、子供に教え伝えることは、子供自身の「わかる喜び」とか「できた喜び」に結びつくように応援することで、私も喜びをもらうことができた。しかし、多くの人に、そして社会に「伝える」と言うことは、たとえ良いことであっても必ずしも喜びに結びつかないことがある。ただ、いつか心の土台にしてもらえればと思う。生活様式はどんどん変わってくる。しかし心穏やかに過ごせるようにと母たちから伝えられてきたことを、今度は私が一人でも多くの人に伝えていくことができればと願っている。