初日の出


 一年の計は元旦にありと先人は言う。一年の計画は元旦にたてるものとの意味だそうだが、時の流れは早いものである。日々追われるように過ごす一年、心の歩みを止めてふと省みると一体どれだけ事をなせたのかと考えさせられる。

 昨年の今頃は、十一月から二月までの寒中壱百日間の荒行堂で法華経読誦と水行に心身を清める修行の最中であった。

 たった壱百日、されど壱百日である。三ヶ月余りの期間に修行僧それぞれの人生が凝縮され、試され、それぞれのドラマがある。

 しかしそれは荒行僧だけに限られたものではない。人々は全て同じであり、一年間、一生と、限られた時間を生きる命という、それぞれのドラマがある。

 時の流れと共に果たす社会や家庭での義務や仕事。過去の自分への後悔や未来への不安が去来してはストレスや病に煩い、私達が元々持っている健康的な生命力が発揮されなくなる。だから、縛られたように固くなった心を解きほぐしリセットする事がとても大切になってくる。

 昔、ある方にこう教えられた事がある。
 『時間を気にして時計をみる時、今何時何分か時計の針先をみる。でも時計の中心をみてごらん?そこから全ての時間が拡がっているよ。今この瞬間に世界中に全ての時間が流れてる、そう考てごらん』

 針先が告げる自分という小我に囚われずに、もっと大きな視点で世界との関わりを実感する事が大切なのだ。

 法華経は、仏様の子として、またお遣いとして、自分一人に止まらず一切衆生の幸福を目指すという菩薩行の教えである。今こうしている時にも世界中で様々な事が起きている。時々は自分だけという小我の心の歩みを休めて、大我、大きな視点に立ち、奉仕の心で自分や周囲と向き合う時、僅かでも心新たに躍動する生命感が、生きがいとして実感できるのでないだろうか。そんな一年にしたいものである。