山のたより

能勢家文書

「信友」の「山のお便り」欄の記事を掲載しております。

 今月十日は日蓮宗大荒行堂の成満出行会があります。
 昨秋十一月一日から寒壱百日間の修行は、想像を絶する厳しいもので、時には音を上げたくなることもあります。

 寒中の荒行は、宗祖の孫弟子日像上人が宗祖の跡を偲び、自身の布教の志念力を確かめ、仏祖のご守護を戴くために、毎夜極寒の海中に身を沈めて自我偈百巻読誦したという故事を嚆矢とします。

 11日は成人の日。成人式を迎える人にとっては、特別な思いがあることでしょう。

 二十年間をふり返り、楽しいことばかりではなかった。
きっと困難な出来事もあったことでしょう。
それを乗り越えて今があるのです。誇りとし、大いに自分を誉めて下さい。

 でも、人は独りで生きていくことはできません。

 一年をふり返り種々浮かぶ中、読売新聞に自身の写真が出たのは照れくさいが良い想い出だった(9月15日夕刊)。大阪市立美術館「道教の美術」展の開会式でのことだった。

 山紅葉が彩りを増す季節。朝晩の冷気は身を引き締めるが、昼間の陽気は眠気を誘う。

 私たちは読経の時、木鉦(もくしょう)を使うが、木魚を使うこともある。

 木鉦はカンカンと響くが、木魚はポクポクと実にのどかな音で眠りを誘う。
木魚は文字通り魚を丸くしたような形をしている。魚のようにいつも目を開けてつむらないようにとの戒めからできた形だという。

 滋賀県の商人を近江商人といい、「三方よし」の家訓が有名だ。

 三方よしとは「世間よし、売り手よし、買い手よし」のこと。

 この考えは、仏教の菩薩行に似ている。菩薩行の目標は皆の幸せの実現である。そのため自らは仏道を求め、他の衆生に対しては法を広め伝える。

 多少の違いはあれど幸せな社会の実現のため、どうすればお客さんが幸せになれるかを考え実践し、結果として自らも潤いを得るという考え