九月十二日は龍口法難の御聖日だ。龍口法難とは、日蓮聖人が鎌倉幕府により捕らえられ、江ノ島を臨む龍口(たつのくち)で処刑されそうになったご法難である。

 当時、僧侶の刑は流罪が最高であったが、幕府の勘気をこうむった聖人は内々に処刑されようとしていた。聖人が頸(くび)の座に引き据えられまさに刀が振り下ろされようとした時、「江の島のかたより月の如くひかりたる物」が現れるという不思議な天変地異が起こり、役人達は恐れおののき処刑が中止となった。こうして聖人は無事に頸の座を逃れることができたという。

 またこのとき、聖人が刑場に向かう途中で、老婆からぼた餅を供養されたのだが、それが後世、厄除けに効く「頸(くび)つなぎのぼた餅」と言われるようになった。そのため龍口法難の法要の折に、ぼた餅やお餅を供養するお寺も多い。